私が狩猟をしようと思ったキッカケのお話
季節は冬
この日は寒い冬空の下で獣害防止策の基礎工事をしていました。
鹿や猪だけでなく、猿にも悩まされている滋賀県の某山里では、ただ網を立てただけでは獣害を防ぎきれません。
猿は容易に柵を乗り越え、民家や田畑に入ってくるため、猿も防ごうとするならば上部に電気柵も付けなければならないのです。
電気柵を使うためには当然ながら上部な支柱とそれを支える基礎が必要です。
下の写真はその基礎づくりを複数の業者で分担しながら何キロにも渡って作業している現場です。
田舎の現状
田舎は少子高齢化で年寄りしかいない。
そして空き家も多い。
若い層はみんな出ていき、ほんの一部が残るのみです。
害を加えてくる人間が少ないので野生動物は気軽に入って来られます。
それが本来の姿かもしれないのですが、農作物や食料を動物に奪われるのは現代の人間からしても死活問題です。
それでもこんな現状では大した対策ができません。
「人間の方が檻の中に入っとる」と、この辺りの人は言います。
畑ごと檻のように囲うのが手っ取り早いのです。
それでも広大な農地を全て囲う訳にも行かず、結局のところ役所頼みなのです。
今回の工事も市の農業系の課が発注者です。
山から声が
昼過ぎ、1キロぐらい進んだ所にある集落の墓地を超えたあたりで、川の向こう側の山から声が聞こえた。
「おーい、おーーーい」と何度も
誰か遭難したんだろうか?
崖で誰か落ちかけているのか?
居合わせた数人と山を見ても特に人影は見えません。
しばらく見てると下の道路に白い車がゆっくり走っているのが見えたりもしました。
意味がわかりません。
しばらくすると静かになりました。
何だったんだろうかと話していると、15分後くらいにまた聞こえました。
意味がわかりません。(2回目)
「おーい」だけなので、助けを求めてるわけでも無いようだし、人を探しているわけでもなさそうです。
意味がわかりません。(3回目)
よくわからないので、ほっておきました。
立ち話で
私以外にももう一人工事を手伝いに来ている人がいました。
瓦屋のオッサンです。
パット見いかつくて頑固そうですが、性格は穏やか。
親父さんは猟師をしているそうで、夜な夜な「カチャ…カチャ…」と弾を作る音が聞こえるそうです。
柵の効果や維持について話していると、「撃つなり罠を使って獲ったら良いんや、親父かてそれで結構稼いどるらしい。」とも言っていました。
ちょっとした驚きでした。
それまでの狩猟のイメージはというと、ゴルフのような金のかかる趣味や、伝統的な文化体験のようなものだと思っていたが、多少の収益性もあるようです。
「あれ、猟師として生活できている人が身近にいた!」
それが率直な感想です。
一度考えたものの…
実は狩猟自体には興味があり、4年前(平成27年)には個人的に狩猟読本を滋賀県猟友会から取り寄せて買って見たりもしていました。
だが免許を取ったりはしていません。
取ったところで実際に猟をするイメージが浮かばなかったり、猟期が冬だけと短かったり、免許に3年間の有効期限があったりと、興味はあるものの行動に移すにはハードルが高いと感じたのです。
親戚に罠の免許を取った人がいるのですが、話を聞くとなんだかめんどくさそうでした。
罠に掛かった動物を殺したり、解体するのがすごくハードルが高いもののように感じていたのです。
もちろん銃は多額の費用と手間がかかるので容易に持てない代物だと思ったので最初から検討さえしていなかったです。
興味の再燃
思ったよりも身近に猟師が居るようなのですごく興味が湧いてきました。
調べていると滋賀県も多少の補助はしているようです。
最初にそこそこ費用はかかるが報奨金がいくらか出るなら金銭面もなんとかなりそうです。
このように柵を作るだけでなく、獲って対策ができれば困っている地域のためにもなります。
そんな貢献要素も持っています。
事業とまでは行かなくても良いから一度やってみたいと思えたのです。
ただ、いきなり免許だ登録だと進めるのも何なので見学に行きたいと考えました。
瓦屋のオッサンの親父さんはあまり家族間の会話が多くないようなことを聞いたので最後の候補とし、数少ない知り合いを当たって猟師の知り合いがいないか探してみることにしました。
次のお話し