散弾銃を語る上でチョークは必ず登場します。
持つ前は全く意味がわかっていなかったが今は目的に応じて使い分けれるようになりました。
チョークとは?
チョークと聞くと必ず黒板に書くための白いアレが浮かぶだろうが、散弾銃では「絞り」のことを指します。
カメラでも「絞り」が出てきますが意味は同じです。
一眼ユーザーなら「シリンダーが開放、フルチョークがF/22」だと言うとわかりやすいかもしれません。
散弾銃のチョーク(絞り)とは簡単に言うと「先に向かって狭くなっていく加工」です。
下のイラストを見てください。
これは一般的なチョークの断面図です。
下が薬室側で、上が銃口側です。
インプシリンダーは少し絞られており、パターンの改善が期待できます。
日本では改良平筒とも呼ばれています。
それ以降はモデ、インプモデ、フル、ターキーなど、順番に狭くなっていきます。
狭くなっていくほど弾の広がりが抑えられ、離れてもある程度まとまった範囲になります。
散弾は広がりすぎると効かなくなるので、それを改善するためのパーツだと考えるといいでしょう。
銃を買うとインプシリンダーと他に数本付いてきます。
私が使っている「Browning MAXUS」はインプシリンダー、モデ、インプモデという何とも中途半端な構成です。
チョークの種類
一般的なチョークは7種類くらいあります。
絞りの段階別では6段階に分けられており、メーカーによってはインプ○○に加えてライトやエクストラなどの10~11段階のラインナップがあります。
種類やパターンをまとめると次の表のようになります。
パターンは理屈上のものなので実際は重力や空気抵抗によって形が変わっていきます。
シリンダー
CYLINDER、CYLなどと表記されています。
シリンダーは「筒」という意味で日本では平筒とも呼ばれています。
薬室に入る弾なら全部撃てますが、散弾の場合は弾の広がり方が偏ることがあるようです。
スラッグ銃身というのもこれにあたります。
散弾を撃つのにはあまり適さないですが、近距離ならバックショットを使えます。
スキート
SKEETと表記されています。
シリンダーよりも少しだけ絞られています。
絞りの度合いはシリンダーとインプシリンダーの間くらいです。
SKEET 2という名前でインプシリンダーとモデの間くらいチョークも存在します。
メーカーによってはライトモデだったりするのでここでは割愛します。
スキート競技用のチョークであり、近距離でのパターンの良さを狙った設計になっています。
たまに「ラッパ型で先に行くほど広くなる」と言う人がいますが全くのデタラメです。
現行品でそのような銃は存在しません。
>>測定データ
このチョークはインプシリンダーと同様に散弾でもスラッグ弾でも使えます。
スキート用の上下2連も「スラッグを撃てる」と書いてある事が多いです。
※古い銃や弾の指定がある場合は除きます。
私が買った銃にはインプシリンダーより広いチョークが付いていなかったので、スキートとスラッグ兼用でこちらを買いました。
インプシリンダー
Improved Cylinder、IMP.CYL 、1/4 などと表記されています。
少し絞られており、パターンの改善が期待できます。
日本では改良平筒とも呼ばれています。
スラッグ弾を撃っても問題ないです。
ただし、その根拠は「インプシリンダーでスラッグ弾が撃てるように銃が作られている」というものなので、スラッグ弾の中でもタイトで重いブリネッキは銃が古かったり競技用の軽量化された薄い銃身では何らかの影響が出る可能性があります。
近距離はバラ玉、さらにスラッグ弾で中~遠距離も狙える万能チョークだと言えます。
鹿や猪などの大物猟では最も使用頻度が高く、1発目はスラッグ、2・3発目はバックショットという使い方も多いため、両方撃てるインプシリンダーだけで間に合って丁度いいのです。
インプシリンダーでも鳥や皿にだいたい当たります。
チョークを変え忘れてアメリカントラップを撃ち最高で20枚割れたこともありました。
銃を買ってからインプシリンダーをずっと付けっぱなしにしている人も多いです。
モデ
Modified 、MOD 、2/4 などと表記されています。
古い銃の説明文では半絞りとも書いてあります。
近距離から中距離に向いていますがそのような状況は少ないです。
チョークの中では一番地味な存在で、正直使い所に迷います。
迷うくらいなら無い方がいいでしょう。
自動銃でダブルトラップを撃つ機会があれば試してみようかな~という程度で眠っています。
インプモデ
Improved Modified 、IMP.MOD 、3/4 などと表記されています。
トラップ銃の1発目として一般的な絞りであり、1発しか打てないアメリカントラップ用にこの絞りで固定された単発銃もあります。
中距離~遠距離で使いやすく、鳥撃ちでもよく使われています。
私の場合は自動銃でトラップ射撃をするときはこちらを使っています。
フル
FULL 、F などと表記されています。
日本語で言うところの全絞りです。
トラップ銃の2発目はこの絞りで、遠距離を撃つのに適しています。
飛び立ったカモは旋回しながらどんどん高度を上げていくが、これなら真上に来た時を狙って落とすことも出来ます。
少数派だが粒数の多い(25 - 27粒)バックショットで鹿の頭を狙う人もいる。
手堅い密度の弾幕になり肉への影響も少ないようです。
6.35mmの空気銃でも鹿の止め打ちが出来ることもあり理にはかなっています。
ただし、フルチョークでスラッグ弾を撃つのは危険です。
射撃場にて上下2連銃でスラッグ弾を撃って上の銃身(フルチョークの方)が破裂し、先台を持っている左手に重症を負ったという大事故も比較的最近起こっています。
固定チョークの上下2連、タイトで重量なブリネッキ、そしてフルチョークという組み合わせが悪かったようです。
また、無毒だという理由で鉄散弾を用いる場合も要注意で、変形しづらい鉄の性質からスラッグ同様に破裂事故が起こる可能性があります。
鉄散弾の場合はインプモデチョークがフルチョークになります。
ライフルド チョーク
チョークの中には絞ることを目的としていないものもあります。
それが「ライフルド チョーク」です。
これは弾に回転を加えることを目的としており、普通の散弾銃でサボット弾が撃てるようになるというものです。
もちろん写真の通りスラッグ弾も撃てますが、散弾はまともに撃てません。
サボットスラッグ弾、ライフルドスラッグ弾、ラウンドボールなどの1発弾で使えます。
バックショットはどこに飛ぶかわからないので危険です。
一時は購入を検討しましたが、銃にしっかりとしたマウントレールが付かないのでやめました。
銃が複数持てない地域では需要があるかもしれません。
精度はハーフライフルの方が高いです。
交換方法
銃口を斜めから覗くとチョークが見えます。
回すために十字の方向に溝が切られており、小さな切れ込みは種類の判別のために切られています。
このチョークを回すために専用のチョークレンチが付属されています。
12G、20GAの表示は12番と20番で使えるということです。
ちなみに付いていなかったり紛失した場合はAmazonでも買えます。
銃口に差し込むとチョークの溝と合致し、回すことが出来ます。
付けっぱなしで使い続けた中古銃は固着していることがありますが、たいていは手で回る固さです。
ある程度回すと手で回せるようになります。
スポーティングの上下2連などは手で回せるように出っ張っていることもあります。
このチョークは「インベクター プラス」という規格で、他にも種類があります。
同じブローニングでも「インベクター」というチョークは別なので使えません。
ネジが切られている位置やピッチが違ったり、銃身とのかみ合わせが悪いと危険なので必ず合ったものを使わなければなりません。
付けるときは同様に最初は手で回し、ギリギリまで工具を使わないのが無難です。
ゴミが詰まっていなければかなり奥の方まで回せます。
チョークをしっかり締めて交換は完了です。
まれに緩んでくることがあるので定期的にチェックするようにしています。
緩んだまま使うと銃身とチョークの間にワッズが噛み込み、詰まって大事故になるからです。
迷ったらコレ
最初の内はチョーク選びはよりも銃の安全な取り扱いや、山の歩き方を習得するべきなので、チョークにはそこまでこだわらなくていいです。
・鹿や猪 → シリンダー 又はインプシリンダー
・鳥撃ち → インプモデ
・トラップ射撃 → インプモデ
・スキート射撃 → スキート
・ランニング → シリンダー又は インプシリンダー
上記のような”一般的なチョーク”を付けておいて、なにか考えが浮かんだら変えてみるくらいでもいいでしょう。