散弾銃の中で最小の口径である410番。
威力がー、弾代がー、銃がー、などいろいろな話を聞きますが実際に持っていない人から聞いても正確で価値ある情報は得られません。
この情報が少しでも参考になれば幸いです。
410番とは
410番という口径はメートル法で言えば直径 10.4mm です。
12番が直径 18.5mm なので410番の銃身は12番の銃口に入るほどの細さです。
銃自体は古いものが多く、国内で流通しているものの多くは昭和の中~後期に作られたようです。
新しい銃としてはレミントンの「M870」や「M1100」で少数作られているほか、イタリア製の中折式単発銃と2連銃があります。
どれも海外では子供用の豆鉄砲としてレジャー用に利用されているようで、大の大人がスコープを載せて50~100mを撃っているのは日本くらいかもしれません。
稀にハーフライフルの散弾銃として「ターハント」を持っている人がいるようですが、これこそ絶滅危惧種であり新たな許可は出ない可能性が高いです。
例えば埼玉県では410番のハーフライフルは100%持てません。(平滑銃身は可)
私が持っている上の写真の銃も昔に作られたようで買った鉄砲屋もよく知らないものでした。
※譲渡の際に相手方が調べたところ40年ほど前の銃だとわかりました。
弾の価格
弾の見た目は12番や20番とは大きく異なり非常に細く見えます。
弾のケースとしてライフル弾用が使えるほどです。
鳥弾は25発の箱で売られていますが、箱の大きさは12番の1/4くらいしかありません。
トラップ用の「7号半 25発」の価格は12番が1,000円くらいなのに対して410番は3,800円くらいであり、狩猟用装弾扱いなためかずいぶん割高です。
スラッグ弾は12番が1発190~300円なのに対し、1発170~250円とあまり変わりません。
トラップを1ゲーム撃つと高価な鳥弾が25~50発(3,800~7,600円)要るので、射撃練習は安価なスラッグで済ませたいところです。
その威力
散弾は内容量が14gしかないので単純計算で半分です。
同じ絞りなら弾幕の密度が半分と考えて差し支えないです。
単発の410番でトラップ射撃をするとびっくりするほど当たりません。
インプシリンダーだということもありますが、5枚中1枚当たれば良いくらいでした。
(見た目がライフルなので知らない人が見たらすごいようですが。)
スラッグ弾については同じくらいの速度ですが弾頭重量が5.6~7gしかない分弱くなります。
※12番は25g、20番は19gくらい。
威力はWinchester Super-X Rifled Slugsのカタログ比較で12番が2,488 ft/lbs、410番は 651 ft/lbs
12番のバックショット1粒よりは強いかなというくらい。
それでも猟銃の弾なので、拳銃で言うところの.357マグナム以上、.44マグナム以下の威力は持っています。
対動物では猿は75m以内、鹿は50m以内で実用的な威力になりますが、これはあくまで止まっている場合であり命中精度でいくらか前後します。
当たりどころが不安定な巻狩で走っているのを撃つなら25mくらいが現実的と言えそうです。
命中精度
銃によるところが大きいです。
というのも410番の猟銃には2種類あり「410番として作られた銃」と「410番に改造された銃」が存在します。
センターファイア式なのでライフル銃の薬室と銃身を削れば410番の実包が撃てるので、サコーやレミントンのボルトアクションライフルや、ウィンチェスターのM94などのレバーアクションライフルを「410番の散弾銃」として持てます。
もともと410番として作られている場合でも絞りがあったりなかったりでスラッグ弾が撃てない場合もありますが、ここでは私が所持しているインプシリンダーの絞りがついた散弾銃を例に上げると、
「銃身を木台に委託した状態で50m先の的を5発撃って握り拳に収まるくらいの精度」
があります。
くわしくは実写データを見てください。
遠距離で使えるのか
そもそもの想定はどうだろうかとウィンチェスターのデータを見てみました。
テストされている距離がそもそも125ヤード( 114.3m )なのでこれ以上は想定していないことがわかります。
エナジーは銃口では651 ft/lbs あっても100ヤード( 91.44m )で 204 ft/lbs まで落ちます。
7.62mmの空気銃が70 ft/lb くらいなのでそれよりは強いですが、急所を外すと半矢になるかもしれません。
したがって当たる銃なら100mでも使えるが当たらない銃は50m以内で使うものと言えそうです。
適した用途
410番の長所は無駄な破壊を抑えられること、そして反動が少ないことの2つが挙げられます。
コンパクトだとか軽いだとかは銃次第です。
M94やM9410なんかはほぼ鉄なのでずっしり重いし、上の写真の細身な銃でもスコープ別で 3.1kg あります。
華奢で軽いのを探せば 2.3kg のも存在しました。
全体的に反動が少なく、肩付けがいい加減でも片手でも撃てます。
肩が痛くなるようなことはまずありません。
気軽に的撃ちを楽しむことができる銃ともいえます。
代表的な使用例として止め打ち(止め矢)では非常に重宝します。
12番で鹿の頭を撃つと反対側が無くなりますが、410番なら離れて撃てばそこまでひどくはなりません。
足場が不安定な場所でも撃てて弾も小さくかさばりません。
本州鹿なら7.62mmの空気銃で問題ないですが、大きな猪となると怖いです。
しかし410番であれば確実に仕留められます。
発砲音の大きさ
もう一つの特徴として音が小さい(音圧が低い)です。
12番と同じ初速で撃つが、火薬量が少なく銃口も小さいので音の規模としては小さくなります。
小さいと言っても銃なので大きな音は鳴りますが、体感的にロケット花火くらいの音量かなと思います。
リロード
撃ち終わった空薬莢でリロード(ハンドロード)をしてみるのには楽しい銃かもしれないです。
トラップではウィンチェスター、スキートではレミントンの空薬莢が落ちていることがあります。
火薬は鳥弾なら「IMR4227」で複数のデータが有りました。
2 1/2インチなら火薬量は15~16グレインくらいで構成により少し前後しています。
スラッグは国内で手に入る火薬はないようですが、バックショットを1つだけ撃つライトゲームスラッグという構成で「ロングショット」を使ったデータが見つかりました。
ロングショットは12番・20番向けの燃焼速度が早めの火薬なので量はほんの少し(8グレインくらい)で良いようです。
減りゆく銃
銃が国内で新たに作られていない以上、その数は減る一方です。
壊れたら -1 、売れないと思って店が廃棄して -1 、警察に直接返納されても -1 と、どんどん減っていきます。
輸入も調べてみたが「薬室のサイズ上、拳銃弾が撃てる可能性がある」ということで難しいようです。
国内で流通している銃でも同じことは言えるのですが、この辺を言い出すと410番は廃止になりそうなのであとは察してください。
絶滅が危惧されている狩猟者の中でもわずかしか持っている人がいない 410番 。
罠免許の所有者が増えているようなのでこちらも見直されても良いように思います
おまけ
フェデラルの箱にはこんな事が書いてありました。
Thanks for shooting Federal Ammunition.
Remember to take a kid hunting.
フェデラルの弾薬を撃ってくれてありがとう。
子供を狩りに連れて行くことを忘れないでください。