剣鉈を買った

2019年11月25日

剣鉈

大物猟を行うハンターにナイフは欠かせません。
獲物の血抜きや解体はもちろん、簡単な工作や自分に絡まった蔦を切ったりといろいろな場面で使うことになります。

剣鉈とは?

剣鉈(ケンナタ)とは一言で言えば先の尖ったナタです。
地域ごとに多少違いがありますが、メジャーなのはこのような形状です。

剣鉈 選び方

普通の鉈との違いの1つは先端の形状です。
鉈だと先端が四角くなっているので「突き刺す」動作ができず、これでは血抜きや皮剥ぎは不可能です。

では普通のシースナイフはと言うと、軽すぎて振れず「薙ぐ(なぐ)」動作ができない。
結局のところ日本の山では剣鉈が使いやすいのです。

ナタとのもう一つの違いは鍔(つば)の部分です。
前述の突き刺す動作で指を切らないように鍔の部分がしっかりしています。

フクロナガサのように幅の広い刃で鍔としているものは重く、マキリのように鍔がなく同じ刃幅なら慣れてないと危なっかしいです。
ただし、どれも特定の用途や使い方に特化しているので、使用するスタイルが合えば使いやすい刃物となります。

フクロナガサ(叉鬼山刀):大型のナイフであり重厚。柄が中空になっており槍にもなります。
マキリ:小型の刃物。鍔がなく刃の幅は柄と同じくらいであり、見た目は短刀に近い。
シースナイフ:洋風のナイフ。小型で軽いものが多い。

剣鉈はどちらかというと大物猟で活躍します。
鳥撃ちなら細身のシースナイフが丁度いいです。

 

トヨクニの剣鉈

剣鉈メーカーは何社かありますが、一番の有名所は「鍛冶屋 トヨクニ」です。
形や長さのラインナップが豊富で、一定の質を保っています。
刃物の要となる鋼材についても白紙、青紙、青紙スーパー、ダマスカス、ステンレスなど、特性をよく理解して製作されています。

今回はこのトヨクニの剣鉈を注文することにしました。

 

土佐鍛 古式精錬 狩猟刀 180

全長:325cm
刃長:180cm
刃厚:6mm
刃幅:34mm
鋼材:日立安来鋼青紙2号
仕上げ:鍛造黒・木鞘付き・両面匕入り

土佐鍛 古式精錬 狩猟刀180青2 両面ヒ入 樫柄木鞘(オイルステン) 革バンド

数ある中から私の欲しい構成に一番近かったのがこれです。

鋼材は日立安来鋼青紙2号であり、硬いため研ぐのには若干の手間がかかるが切れ味の持ちが良いです。

最も迷う刃長(刃渡り)は180mmとこの品では最短ですが、手にすると十分な長さです。
血抜きと解体にはこれくらいが丁度いいし、もともと135mmでこなしてきたので不便さは感じません。

剣鉈の切っ先(ストレート型)

刃先は刀のようなストレート型
先端は山立てされており突き刺しやすくなっています。

剣鉈 山立て加工

両側に匕(ひ)が入っており、刺した時の血の抜けが良くなっています。

剣鉈 匕入り

鞘は今回は木鞘が標準となっていた。
人によっては木は「カタカタ」鳴るから駄目だとか、革は湿気で錆びるから駄目だとか色々言われています。
結局は自分で気に入ったものを使っていればいい。

剣鉈の木鞘

鞘の質感はそこそこ良いです。
日本刀の鞘のように朴(ほう)の木が使われており、適度に柔らかいため刃に優しい。

剣鉈の柄

柄は樫で出来ており大変丈夫です。
接合部の仕上げも美しく、端部が太いため握りやすいです。

 

しかし…

私はこだわりが強い方です。
道具については買ってから自分で修正することもあります。

今回は商品画像には無かった「銘」が入っていたことが非常に気になりました。

剣鉈

銘は映画のクレジットのようなもので、製品に対する責任の現れとも言えます。
基本的には入っていて価値が保証されているようなものです。

しかし私の場合はゴミが入る隙間だと思っています。

解体の時に油や汚れが入り込むと難儀するのです。
研いだ後も同様で、匕のように拭うだけではキレイになりません。

トヨクニの銘は打刻なので深い。
頻繁に手入れするとなると毎回一手間余計にかかってしまいます。

もちろん作者に対しては敬意を払っているし、嫌いなわけではないです。
だからこそ削ったり溶接で埋めるわけにもいかないので、最初から入っていないのを探していたのです。

商品画像には両面入っていなかったのでこれにしたのに現物は違いました。
他が完璧だっただけに残念でしたが、そう伝えて返品しました。

こうしたクレームが私だけでは無かったせいか、当時左のようになっていた商品画像は、現在は右のように銘入りと追記されています。
撮影に使った見本を売ってもらえるとありがたかったのですがね。

©トヨクニ

返品の際の対応などは丁寧であり、不満は一切ないので何一つ悪い印象は持っていません。
オーダーメイドも対応されているのでいずれは特注品を頼みたいとも思っています。

日本製の確かな質の逸品をお探しならぜひご検討を。

 

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