3Dプリンターで銃は作れるのか

2022年7月10日

先日起きた痛ましい事件で密造銃が使われ、なぜか3Dプリンター業界に風評被害も出ているので、こちらでも取り上げることにしました。

私の立場

私は猟銃と3Dプリンターの両方を持っています。

銃についてはセミオート銃(複雑)と古式の中折単身銃(単純)です。
許可を得て火薬を買って弾の自作もしているので、銃や弾の構造についてはよく理解しています。

3Dプリンターについては趣味としての工作の一環であったり、取引のあるの弁理士事務所の特許関係の試作などに使用しています。
設計ソフトで設計し、素材や設定を考えて製造することができます。

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上記の機種なのですが中々制度がよく、シェルホルダーやガンロッカー用品の制作に挑戦してる人も居るようです。

私の場合はたまたま両方あって、両方を実用可能なレベルで理解しています。

 

可能なのかというと…

説明が難しいのですが、結論から言うと「そんな形には作れるけど使えない」です。

まず前提として「日本の法律上の銃」と「道具としての銃」は異なります。

日本の法律上の銃というのは“一方を開口した管から火薬や圧縮ガスを用いて開口方向へ金属性の弾を発射するもの”です。
一昔前にとある遊戯銃(エアーガン)が実弾の発射機能がある“銃”であるとして回収されました。
この“銃”はプラスチック製だったのですが“火薬を詰めた手製の弾”を発射できるとされました。
実際のところ完全に強度不足であり、激発と同時に“銃”が爆発し、弾が破片と共に前に飛ぶようなものだったそうです。
それでも構造が銃に該当するので“銃”なんだそうです。

3Dプリンターで銃を作って検挙された例は日本でもありますが、弾が特殊なので使用されたことはありません。
こちらも出来る限りの準備を尽くした実験で使用できたため違法という判断になったそうです。

道具としての銃は大きく異なります。
発射機能があることは当然ですが、確実性と安全性、それに次いで機能や威力が求められます。
プラスチックは一部の銃のフレームにも使われていますが、3Dプリンターで使われるようなプラスチックでは全く強度が足りません。
そして熱で溶かして使用するため当然ながら熱にも弱いです。
さらに、射出成形などでなく積層方式なので積層方向の強度も大きく下がります。

つまりは形は出来たとしても使いものにならないということです。
結論を交えると「日本の法律上の銃」に該当するものは作れるかもしれないが、「道具としての銃」は作れないということです。

余談ですが3Dプリント銃の考案者もとっくに金属の削り出し加工にシフトしています。

 

なぜ3Dプリンターが騒がれているのか?

今回の事件では3Dプリンターを使っていないのに、マスコミは3Dプリンターを取り上げています。
結論ありきで先走った結果でしょう。

大日本猟友会の会長もなぜかインタビューを受けていましたが、マスコミが先入観で先走った結果なんでしょうね。

上司が「これは3Dプリンターで作ったのに違いない、特集をしよう」と言ったので部下がそれっぽく仕上げた結果です。
マスコミは見て伝えることは得意(というか本分)ですが、自分で考察する力やそのような権利はありません。

 

-雑記